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『ひまわり』~ゴッホに そして彼を愛したすべての人へ捧ぐ

はじめに何故ゴッホなのか?

ゴッホに憧れて絵を描いていた少年時代

点描を真似てスケッチ大会にも入選したこともあった。

将来は、絵描きになるつもりでいたがゴッホの伝記映画を観て怖くなり諦めた。

それから紆余曲折、どうしても大人になって諦めきれなくて制作の道を選んだ。

そんな折、偶然目にしたゴッホのひまわりの画集の下に記載されていた1888年という年号に釘付けになった。

気が付いたその年が1988年で丁度100年目だったからだ。  

1888年 → 1988年

何かに呼ばれる気がした。

それから改めてゴッホの事を調べ直し足跡を追った。

因縁めいた気分で始めたゴッホへの旅は、やがて私を現代美術へと導くものとなった。

◆代表作に『1990年7月29日のゴッホの肖像』について

1990年は、ゴッホ没後100年目だった。

墓前に何を持って行こうかと考えあぐねたが、そうだアルルに咲くひまわりの花を持参しよう決めた。

  

『1990年7月29日のゴッホの肖像』~没後100年の日

 

アルルで摘んだ「ひまわり」を手にゴッホの墓を参ったのは1990年7月29日だった。
その帰り道、近くにある彼が亡くなるまで住んでいたという下宿跡を訪ねてみた。
すると、外壁に剥がれかかった1枚のポスターがあった。
驚くことに、死んで丁度100年目の日にゴッホはポスターとなって僕の来訪を待っていた。
話かけてみるも、ただ幽霊のようにじっと、町並みの中行き行き交う人々を見つめているだけだった。

通俗的にみると、ゴッホの人生は苦しみと悲しみの連続で不幸だとされる。
しかし、見方を変えてみるとどうだろう。

彼の人生は、ある意味において幸せであったのではと感じる。
それは、生きている間に情熱を傾けられる仕事にに出会い、それに向かって全身全霊でエネルギーを傾けることが出来たという点において。

これだけでも素晴らしい事ではなかろうか。
これと同様に、いったん彼の顔を哀れみの目で見るとその表情は惨めでかわいそうに見えてくる。
ところがその反対に彼を尊敬の目で見ると、その顔つきは畏怖堂々としてくる。
その落差は、まるで騙し絵のように見え不思議な感情にとらわれる。

やがて、彼の瞳を凝視していくうちにその視線は遠くに存在する普遍的なものを見据えていることに気付く。
ゴッホの肉体は滅びたが、次代の人々の心を通じて永遠に生き続けることだろう。
その瞳の奥に、人間は絶対に死なない、そして芸術は不滅だと確信した。

それからの話
後に、この写真は偶然、アルル在住の写真家ルシアン・クレルグ&ヨランダ・クレルグ夫妻の目に留まり,
テキストと共ににアルルのゴッホ財団美術館の収蔵作品となった。

並行してアルル国際写真祭にも展示が出来た。

  


更に2000年、代表作の写真を撮影してから丁度10年後に巡回展(没後110年 ゴッホに捧げられた現代美術)として日本に再上陸した。

その時に世界に名だたる収蔵作家の作品を観て物凄く震えた。(デビット・ホックニー、クリスト、ジャスパージョーンズなど)

特にカレル・アペルの作品に感銘を受けた。

改めて気合を入れて美術、現代美術の制作をしようと決意をした。

それで再度大学に行って美術の勉強を一からし直した。

ゴッホを追う旅は単なる絵描きに留まることなく深く現代美術への道へと誘うものだった。

 今もゴッホを巡る旅は、続いている。

29/7/1990`s portrait of vincent van gogh

On july 29th,1990 I went to Van Gogh`s tombstone with a sunflower which I had got in Arles.

On the way home I stopped at the apartment in which Van Gogh died.

There was a poster on the wall of the apartment.

Exactly one hundred years after his death he had become a face on a poster,

watching the town and the passers-by.

He looked like a ghost.

 

One can think of Van Gogh`s life as one of sadness and struggle.

But one can also look at his life with other eyes.

He put his entire being into his art every time he painted.

In this light, is it not possible to view his life as being complete, to view him as not having wasted a single moment of his life?

 

In the same way, if I look at that poster with sympathetic eyes, Van Gogh`s expression is one of sadness.

But if I look at the same poster with respect, his expression becomes one of pride, strength and confidence.

This is a really mysterious phenomenon, almost like trick photography.

 

When I looked into his eyes, it seemed to me as if he was searching for the truth.

I know his body has gone, but his spirit will continue forever.

I think that people do not die, as their spirits live on after they have breath.

In exactly the same way, art never dies.

 

all right reserved hiroaki kamizono

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