何故赤い絵を描くのか?
『光と風の集積』コンセプトより
まず初めに私の絵は、綺麗に描いているとか、イラストレーションの様に人物の顔や姿や、
生き物、植物とか等具体的な形が見えるといった類の物ではありません。
頭に浮かんだ考えアイデアをコンセプトに昇華させて二次元の絵画に転写しています。
そのコンセプトがとても重要で作品の一部いや半分を占めていて、両者が合わさって作品になります。
そしてコンセプトを知ると作品の見方が変わりますので、ゆっくり最後まで読んでいただけると事をお願いします。
『赤い色』について
その1
赤い色は、人類の歴史を表す色だと思っています。
人類の歴史は大量殺戮の歴史と武器の歴史でもあるとも言えるでしょう。
その流れた血=赤い色
火力を持った武器の炎=赤い色
何度も繰り返された中、人類を塗ってきた色かもしれません。
一方で炎は暗闇を照らす希望を意味します。
一色の中に複雑な想いが交錯します。炎の揺らぎにも似ています。
一つの画面に希望と絶望が交互に立ち現れます。
今の時代、自分はどこに立っているのか、歴史を踏まえてまた考えながら描いています。
あ
あ
その2、希望を込めて
これまで、私は、人は何故絵を描くのかをテーマにずっと制作をしてきました。
やっと自分なりにその答えが解ってきました。
それらの答えをいきなり全部一度に表現するのでなく少しずつ作品化しています。
古代の洞窟絵画では絵具は土から作られていました。
また洞窟内を照らすのは赤い炎です。
描かれた画を見る様子を想像すると洞窟内部は赤く染まったと想います。
自分が絵の具を使い、赤い色を選んだ理由はここにあります。
画面には土、火といった2つのエレメントが交錯しています。
◆火、災の歴史
太古から火は特別なものでした。
神として火を拝み祭事も行われてきました。
火は産業の証でもあります。例えば溶鉱炉の灯りなど近代化を象徴しています。
一枚の絵の中に赤い絵の具を通して
古代から現在、ひょつとしたら未来までの長い時間が交差しています。
◆そして余白の部分は光を表しています。もちろん洞窟、暗闇にもれ入る光です。
赤い火を描く事は同時にというか必然的に光が現れる事になります。
赤い点=炎を描くと余白=光が現れる。また炎を描くと光が現れる。それが何度も何度も繰り返されます。
ここに『光の集積』が立ち上がってきます。
光には希望の意味を込めています。
ロマネスク時代、人々は光を頼りに生きていたと聞きます。
現在のコロナ渦にも通じればと願い描きました。
この作品のもう一つのタイトルとして『希望の集積』とも言えます。
◆人は何故絵を描くのか?その答えを私に求めるのだけでなく
観た人がそれを考える切掛けとなるように作品の中に思いを込めています。
提案の様なものかもしれません。
立ち止まって考えること、これこそが現代美術の大きな役目だと信じています。
その3 自分は何色か?
ある時、自分を色に例えてみようと思いつきました。
それまで墨を意識した黒い作品や油絵でカラフルな絵を描いていたが、
突き詰めて自分は何色かを自分で問うてみたくなぅたのです。
金でも、銀でも、青でもない
直ぐに答えは出なかったが、、赤い色が浮かんで来ました。
静かに燃え続ける。
決して諦めない。
沸々と強い感情が湧いてきたのです。
その4 イヴクラインの影響
イブクラインはブルーの作品で有名だ。
19歳の時に、クロード・パスカル、アルマンド・フェルナンデスと出会い、3人でニースの海岸で世界を3つに分ける話しをしたそうです。
イヴは空とその無限性を選択しその後のブルー色の作品に繋がると聞いたことがあります。
もし自分がその時3人と一緒にいたら私は、太陽の色=赤を選んだと
勝手に空想してみました。
赤い色、その一色でどこまで表現が出来るのか?
挑戦です。